皆さん聞いたことがあるかと思います。
では、なぜそのような状況になっているのでしょうか。
その原因を理解するためには、アベノミクス第1の矢と称される、
異次元緩和の内容を知っておく必要があります。
1990年代初頭のバブル崩壊後、日本は“失われた20年”と言われる景気後退期を経験しました。
好景気時というのは、
モノが売れる→企業が儲かる→給料が上がる→モノが売れる
という好循環が回転している状態です。
反対に、不況時の
モノが売れない→企業が儲からない→給料が下がる→モノが売れない
という悪循環、これが長年日本経済を苦しめているデフレスパイラルです。
アベノミクスはこのデフレスパイラルを反転させ、好景気を生み出すことを目的としています。
実は80年代後半のバブル景気も、政府の景気刺激策が発端と言われています。
当時、プラザ合意(この経緯まで説明すると長くなるので知りたい人はググってください)
によって急激な円高が進行し、輸出産業への打撃が懸念されていました。
そこで政府と日銀は、利下げと財政出動によって円高の進行と景気悪化を食い止めようとします。
利下げというのは、日銀が政策金利の引き下げによって、市場の金利を低下させることを言います。
為替レートは国家間の信用度、経済力、金利差による需給で変動するものなので、
「日本円持っててもあまり金利が付かへんでwドル買った方がええでw」
という状況を作ろうとしたのです。
金利が下がるということは、預金の金利も下がりますが、借入の金利も下がります。
また、財政出動(公共事業等への投資)によって、民間企業にお金が流れるようにしました。
これらによって市場に回りやすくなったお金は、不動産や株への投資に向かいました。
預金してても利息が少ないので投資にお金が流れる
→需要が高まるので不動産や株の価格も上がる
→値上がりが見込め、金利の割安感もあるので借金して更に投資する
→もっと需要が高まって価格がどんどん上がる
という流れです。
株や不動産の値上がりは企業業績にも波及し、給料も上がり、
いわゆるバブリーな生活が流行しました。
このバブル景気がその後どうなったかは皆さんご存知の通りですが、
なんとアベノミクスはこれと似たような状況を意図的に作り出そうとしているのです。
「とりあえずなにがなんでもデフレの悪循環を逆転させて好景気の流れを作るんや!
あとは適切なタイミングで金利コントロールすれば急激なバブル崩壊は起こらん!
日本をトリモロス!」
というのが安倍首相の目論みなんですね。
ところが、安倍首相が就任する前に、既に金利は極限まで下げられていました。
俗に言うゼロ金利です。
それでも日本経済は不景気を脱却できませんでした。
バブル崩壊と長引く不況がトラウマになった日本人と日本企業は超堅実派になり、
「金利が下がろうが借金してお金を使うなんてとんでもない!」という考えになってしまったのです。
そこで考え出されたのが異次元レベルの量的緩和。
量的緩和というのは簡単に言うと、
「ゼロ金利でもお金借りたい人いないなら、無理矢理貨幣流通量増やすわ」
という考え方です。
需要を無視したとんでもないやり方に見えますが、実は今の世界のスタンダード。
アメリカも欧州もやってます。主にリーマンショック対策としてですが。
んで、具体的な異次元緩和の方法は、日銀が国債を買って買って買いまくるというやり方です。
ETFを通した株の爆買いについてはここでは省略します。
日銀が円を刷って国債を買い、その円は金融機関や公共事業を通じて市場に流通する。
結果、ダブついた円が投資や消費を促進して景気回復!日本大勝利!という筋書き。
じゃあどのくらいの額の国債を買うのかということなんですが、
なんと限度額はありません。
景気が上向くまで(インフレターゲット2%)無制限で買うというのが今の方針です。
まさに、「景気がッ 上向くまで 買うのをやめないッ!」状態。
前回、
固定金利(フラット35)は新発10年国債の利回りに連動
国債が人気になれば利回りは下がり、
国債の人気が無くなれば利回りは上がる
と書きました。
現在は日銀が全力で買いに行っているので、国債は大人気(需要大)という状況。
このために国債価格が上昇して利回りが低下。フラット35の金利も下がっているのです。
「でも今は変動金利も低いよね?変動金利は短期プライムレートに連動するんだよね?」
という疑問を持ったあなた。その通りです。
しかし、フラット35の金利が下がっている(しかも当初10年の引き下げまである)のに、
金利上昇リスクの残る変動金利が高いままだったら誰も借りてくれません。
なので、銀行もフラット35の金利を意識せざるを得ないのです。
また、住宅ローンは銀行にとって「オイシイ」商品です。
貸し倒れリスクが少なく(企業向け融資が2~3%に対し、個人向け住宅ローンは0.2~0.3%程度)、
金利優遇条件に給与振込口座の指定や公共料金の引き落としを付ければ
メインバンクのポジションをゲットでき、投信の販売等に繋がる可能性もあります。
なので銀行間の競争が激しい=金利競争が激しいのです。
ただし、銀行は短期プライムレート自体は下げていません。
日銀が纏めているデータを見ても、2009年くらいからずっと同じです。
ではなぜ変動金利が1%を切るのが当然のようになっているかというと、
金利優遇幅(これについても注意点がありますが次回以降で)を
拡大するという方法で顧客を獲得しようとしているからです。
例えば、ある銀行が短期プライムレート1.5%から優遇金利0.5%を差し引いて、
金利1.0%で変動金利型住宅ローンを販売していたとします。
表面上は“店頭金利”として掲示される変動金利からの優遇利率として表現されますが、
店頭金利は短期プライムレートをベースに決定されるので、ここでは単純化してこのように書きます。
しかしフラット35や他行の動向を意識して、金利0.5%にしたい。
この時、銀行は短期プライムレートを1.0%まで引き下げるのではなく、
優遇金利幅を1.0%に広げて金利0.5%にしているということです。
この二つの方法は結果は一見同じですが、ある大きな違いがあります。
それは過去に獲得した変動金利型住宅ローンの金利です。
変動金利は短期プライムレートに連動すると謳っている以上、
これを引き下げると過去に獲得した住宅ローンの金利まで引き下げないといけないのです。
実際には短期プライムレートは下がっていないため、低金利と言われる現在でも、
過去に変動金利で借りた人の金利は下がっていません。
なんか詐欺みたいな話ですがご愁傷様です。
ここまでが、アベノミクスによってもたらされた低金利の背景です。
私も金融のプロではありませんので、認識に間違いがあったら指摘して頂けると助かります。
【今回のまとめ】
アベノミクスで日銀が国債買いまくってるのが原因で、
長期金利が低下している
それに引っ張られて+銀行間の競争によって、
新規借り入れの変動金利も下がっている
ただし過去に借りたローンは恩恵を受けられない
次回は、「じゃあこの先金利はどうなるのよ?変動と固定のどっちがいいのよ?」という辺りを、
主に独断と偏見で書いてみたいと思います。
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